平安・室町時代の書道と水墨画、東京国立博物館

平安時代、空海・橘逸勢・嵯峨天皇の三筆をはじめ、名家が輩出し、名筆が遺存した。また、かなが出現し、かなと漢字との調和が日本書道の大きな課題として提示され、これに応じて和様書道が完成された。その完成者は、小野道風である。道風の後、藤原佐理・藤原行成と、いわゆる三跡が相継ぎ、黄金時代を現出した。

室町時代は日本水墨画の全盛期と言ってよいであろう。足利家が禅宗を庇護したこともあり、禅文化や五山文学が栄え、足利家の寺である京都の相国寺からは如拙、周文、雪舟をはじめとする画僧を輩出した。また、東福寺の画僧・明兆(みんちょう)は、濃彩の仏画から水墨画まで幅広い作品を制作した。8代将軍足利義政は政治を省みなかったが、文化の振興には力を入れ、唐物と呼ばれる中国舶載の書画、茶道具などを熱心に収集・鑑賞した。

14世紀までの日本水墨画が頂相、祖師図、道釈画などの人物画や花鳥画を中心としていたのに対し、15世紀には日本でも本格的な山水画が描かれるようになる。

「詩画軸」とは、「詩・書・画一体」の境地を表したもので、縦に長い掛軸の画面の下部に水墨画を描き、上部の余白に、画題に関連した漢詩を書いたものである。

この時代にはようやく画人の名前と個性が明確になってくる

仏教美術は日本美術を代表するジャンルの一つです。平安時代には、日本的な仏教美術が形成され洗練されました。その内容の多様性も日本仏教美術の特徴です。鎌倉時代に入ると、新仏教の興隆や禅宗の導入、また中国美術の影響などにともない多様な展開を示していきます。ここでは仏教美術の盛期である平安時代から鎌倉時代までの作品に、南北朝・室町時代の遺品を加えて紹介します。

につづく肖像彫刻、国宝・重文の名品を中心とする仏画の種々相、聖徳太子や法隆寺にかかる書、前回に引き続き仏具、荘厳具の優品を展示します。

平安時代の美術にはそもそも宮廷貴族が強く関与し、その好尚を反映したものが多く、日本美術史に果たした貴族の役割はきわめて大きいものがありました。宮廷貴族の手によってつちかわれたやまと絵や書の作品や、宮廷貴族の調度品として用いられ鑑賞された工芸品は、後代まで強い影響力をもち、日本的美術の重要な位置を占めています。ここでは、平安から室町までの宮廷に源を発する美術の世界を紹介します。

貴族・和様文化にかかる文化人の肖像画、古今集にかかわる書、中世にさかのぼる漆工の銚子を展示します。

鎌倉時代からはじまる禅宗の本格的な導入にともない、絵画では中国の宋・元の絵画の影響を受けて水墨画が成立しました。また書の分野でも、中国禅僧の書の影響を受けて、日本禅僧による個性ゆたかで気魄に満ちた作風を示す墨跡が生まれました。

一休宗純と大徳寺ゆかりの水墨画、墨跡を展示します。

室町時代には、地方にも多くの画人が現れ、その多くは武家の出身であった。

東京国立博物館

東京国立博物館は、わが国の総合的な博物館として日本を中心に広く東洋諸地域にわたる文化財を収集・保管して公衆の観覧に供するとともに、これに関連する調査研究および教育普及事業等を行うことにより、貴重な国民的財産である文化財の保存および活用を図ることを目的としています。

平成19年4月1日からは、東京国立博物館の所属する独立行政法人国立博物館と独立行政法人文化財研究所が統合され「独立行政法人国立文化財機構」が発足しました。新法人のもと貴重な国民的財産である文化財の保存及び活用を、より一層効率的かつ効果的に推進していきます。